東大社式年銚子大神幸祭、千年の真実が今明らかに

東大社式年銚子大神幸祭の使者と使者受けの研修を見学
総（ふさ）の国の原風景、８・１出版へ
ヤマトタケル東征伝説の舞台を歴訪

海上八幡宮（上）と渡海神社（下）
　２０１０年４月１０日から１２日までの３日間の日程で開催された第５４回東大社式年銚子大神幸祭の記録を出版するために、完全密着ルポを敢行した。神幸祭は神事と芸能の２部構成で、取材現場が多数にまたがった。このため、ライター２人（野口稔＝ジャーナリスト、片桐務＝夢工房代表）と、カメラマン２人（野口玲＝写真家、島村国治＝同）の４人が取材チームを編成し、取材に当たった。
（神幸祭の記事の執筆に忙殺され、約1ヶ月、ブログへの投稿ができませんでした。一段落したので、今後は通常のペースで情報を発信します）

「第2の聖地」桜井の浜（銚子市）にある浜鳥居をくぐる東大社の神輿
　

東大社を出発する神輿
　神幸祭が後世へスムーズに継承されることを願っての出版だ。出版予定日は８月１日で、出版社は夢工房。出版を決意したのは６年前だった。事前取材をしていて①なぜ、神幸祭の名称がクルク変わるのか？②日本武尊は本当にやってきたのか？③祭神が海の神様なのはどうして？④なぜ、銚子市民はオオジン様（東大社）を熱烈歓迎するの？⑤山口宮三部家にオオジン様が立ち寄る理由は？－など、数々の疑問が浮かんだ。

　御産宮の神事（桜井の浜）
　疑問を解くため、多くの本や資料を参考にしたが、より「現場」を重視し、可能な限り「現場」を訪ねた。「現場」とは東大社創建の由来となった「日本武尊の東征伝説」に登場する纒向日代宮（まきむくのひしろのみや、奈良県）、伊勢神宮（三重県）、熱田神宮（愛知県）、走水神社（神奈川県）、熊野神社（長野県と群馬県の県境・碓氷峠）といった伝説の「舞台」だ。直接の「舞台」ではないが、真実に迫るために高千穂神社（宮崎県）、宇佐神宮（大分県）、出雲大社（島根県）などにも足を運んだ。

　「現場」は伝説に根拠があることを雄弁に語り掛けてくれた。６年間という長丁場の取材となった。時間もかかったし、スポンサーが付いているわけでもないので取材費の捻出も大変だった。何よりも古代史の世界は全くの素人なので、理解が難しく、まるで迷路に入り込んだような気分になった。

お浜降り神事会場の外川浦は大観衆で埋まった

　苦労はしたが、自分なりに疑問に対する答えを探し出すことができた。神幸祭の千年の真実を今、初めて明らかにできたと思う。６年間は浪漫（ろまん）に満ちあふれたとても魅力的な長旅でもあった。

東大社のお守りは人気博し、完売

第５４回東大社式年銚子大神幸祭
－総（ふさ）の国の原風景－
神幸祭、千年の真実が今明らかに（帯の文章）
　２０年に一度、千年の歴史を持つ東総地区最大の例大祭を完全密着ルポ！テーマは万物生成の源への敬虔な祈りと深い感謝。２泊３日、往復約６０キロの時空で展開された厳かな神事と華やかな時代絵巻の供奉。オオジン、オタチアレ！『原郷』回帰への果てしなき夢とヤマトタケル東征伝説に彩られた『千古不変の世界』。そこからは地域と日本の成り立ち、再生への確かな道筋が見えてきた。
目次
推薦の言葉　第７７代東大社宮司　飯田　篤永
はじめに　
第一章【神事ルポ】海は遥かなる異界であり他界
－神を畏れ、敬う素朴で真摯な祭祀－
文　野口　稔　　写真　野口　玲
・往古は十二基の神輿が出御
・観客２１万人の総力戦
・火花散った関所のやり取り

第二章【芸能ルポ】華やかな時代絵巻に酔いしれる
文　片桐　務　　写真　島村　国治
・倉橋の弥勒三番叟（みろくさんばんそう）　
・羽計の雲助と大名行列
・今郡の源頼朝公富士の巻狩り
・東今泉の下座・手踊り
・宮原の下座・手踊り
・石出の下座・手踊り
・粟野・八重穂の大漁丸薬売り

第三章東大社は大和朝廷の前進基地
－東征伝説の舞台は陸奥国への最短路－

第四章　宮三部家のルーツは筑紫国の海神族
－親子２代、正統を追求した山口尚さんを偲んで－

第五章　「三社式年銚子大神幸祭」は歴史の改ざん
－「東大社式年銚子大神幸祭」に戻すべきだ－

おわりに