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東大社式年銚子大神幸祭番外編②宇佐八幡宮(大分県) 福岡県の志賀島に鎮座する志賀海神社(しかうみじんじゃ)への参拝は2010年6月14日だった。海神を祀るに相応しい海のすぐ近くの森の中に鎮座していた。 *【第54回東大社式年銚子大神幸祭-総(ふさの)国の原風景-】より 見果てぬ「原郷への夢」 宮三部家が東大社に深く関わっている理由は、始祖の山口三郎政春の出身が筑紫国であり、銚子で代々漁業を営んだという宮三部家のルーツにある。筑紫国は古代日本を代表する海神族として知られる安曇(あずみ)族と、宗像(むなかた)族の故郷である。わたしはそのルーツから宮三部家は、筑紫国の海神族の末裔だと推測する。尚さんが存命中に、この点を確認しておくべきだった。 福岡市東区志賀島にある志賀海神社(しかうみじんじゃ)は、安曇族の祖の底津綿津見神(そこつわたつみのかみ)、中津(なかつ)綿津見神、上津(かみつ)綿津見神の綿津見三神を祀っている。三神は伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が禊祓(みそぎはらい)をした際に、住吉大神(すみよしのおおかみ)すなわち底筒男命(そこつつのおのみこと)、中(なか)筒男命、表(うわ)筒男命の住吉三神と共に生まれたとされる。 東大社の祭神の玉依姫命は、綿津見大神の娘であるし、宮三部家は綿津見大神を氏神としたと伝えられていることから、先祖は安曇族であろう。志賀海神社は古代世界の先進地域である中国や朝鮮半島に近い玄界灘を臨む海路の要衝に位置していた。このため、安曇族は古くから海運を統帥し、中国や朝鮮半島との交易を通じて大変栄えたとされている。安曇族はその後、本拠地の志賀島一帯から離れて全国に移住し、各地に新しい文化や技術を伝えた。 *海神(「日本大百科全書」小学館)) 海神とは海(わた)ツ霊(み)とも書き、海に住む神霊を表す。中国の「海若」から海童、少童ともいい、「わた(海)」は朝鮮語Pataと同源とされて海洋的他界もさす。記紀神話の海幸(うみさち)・山幸(やまさち)神話は、本来海洋的他界よりその呪力(じゅりょく)を与えられる神話であり、海神はこの他界を支配し、風波、干満、雨水をつかさどる神とされている。なお海神には、安曇氏の海神三神、宗像(むなかた)三神、住吉(すみよし)の三神がある。 *安曇族が移住した地とされる場所(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』) 阿曇・安曇・厚見・厚海・渥美・阿積・泉・熱海・飽海などの地名として残されており、安曇が語源とされる地名は九州から瀬戸内海を経由し近畿に達し、更に三河国の渥美郡(渥美半島、古名は飽海郡)や飽海川(あくみがわ、豊川の古名)、伊豆半島の熱海、最北端となる飽海郡(あくみぐん)は出羽国北部(山形県)に達する。この他に「志賀」や「滋賀」を志賀島由来の地名として、安曇族との関連を指摘する説がある。また海辺に限らず、川を遡って内陸部の安曇野にも名を残し、標高3190mの奥穂高岳山頂に嶺宮のある穂高神社はこの地の安曇氏が祖神を祀った古社で、中殿(主祭神)に「穂高見命」、左殿に「錦津見命」など海神を祀っている。志賀島から全国に散った後の一族の本拠地は、この信濃国の安曇郡(長野県安曇野市)とされる。 宮三部家のご先祖は九州から瀬戸内海を経由して、黒潮に乗ってはるばる銚子へやってきたのであろう。2009年10月、日本武尊の東征伝説の追跡取材で、北アルプス穂高岳のふもとにある長野県の上高地を訪ねた。安曇氏の祖神を祀る穂高神社奥宮は、明神岳直下の明神池のほとりに鎮座していた。明神池の鏡のような水面には、紅葉の鮮やかな色彩が映し出されていた。神々しくて神秘的な、これまで見たことのない美しいだった。 奥宮のご神体は、明神岳だ。「山には神様が宿っている」と感じた。先端文化は確かに西から東を目指した。宮三部家の歴史が説明している東大社の由来は、民俗学者で地名学者の谷川健一がいう「日本民族の見果てぬ『現郷への夢』」の世界に通じる。千葉県版国譲り伝説と『原郷への夢』の世界が、神幸祭で見事に重なり合った。そこからは故郷と日本の成り立ち、アジアとの関わりがはっきりと見えてくる。 【8月1日出版予定】 第54回東大社式年銚子大神幸祭 -総(ふさ)の国の原風景- 神幸祭、千年の真実が今明らかに(帯の文章) 20年に一度、千年の歴史を持つ東総地区最大の例大祭を完全密着ルポ!テーマは万物生成の源への敬虔な祈りと深い感謝。2泊3日、往復約60キロの時空で展開された厳かな神事と華やかな時代絵巻の供奉。オオジン、オタチアレ!『原郷』回帰への果てしなき夢とヤマトタケル東征伝説に彩られた『千古不変の世界』。そこからは地域と日本の成り立ち、再生への確かな道筋が見えてきた。 目次 推薦の言葉 第77代東大社宮司 飯田 篤永 はじめに 第一章【神事ルポ】海は遥かなる異界であり他界 -神を畏れ、敬う素朴で真摯な祭祀- 文 野口 稔 写真 野口 玲 ・往古は十二基の神輿が出御 ・観客21万人の総力戦 ・火花散った関所のやり取り 第二章【芸能ルポ】華やかな時代絵巻に酔いしれる 文 片桐 務 写真 島村 国治 ・倉橋の弥勒三番叟(みろくさんばんそう) ・羽計の雲助と大名行列 ・今郡の源頼朝公富士の巻狩り ・東今泉の下座・手踊り ・宮原の下座・手踊り ・石出の下座・手踊り ・粟野・八重穂の大漁丸薬売り 第三章東大社は大和朝廷の前進基地 -東征伝説の舞台は陸奥国への最短路- 第四章 宮三部家のルーツは筑紫国の海神族 -親子2代、正統を追求した山口尚さんを偲んで- 第五章 「三社式年銚子大神幸祭」は歴史の改ざん -「東大社式年銚子大神幸祭」に戻すべきだ-
by kitakamayunet
| 2010-06-28 09:41
| 式年東大社銚子御神幸祭
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Tracked
from 北鎌倉湧水ネットワーク
at 2010-06-29 10:27
タイトル : 東大社式年銚子大神幸祭番外編④宗像大社(福岡県)
東大社式年銚子大神幸祭番外編③志賀海神社(福岡県) 2010年6月14日、福岡県の志賀島に鎮座する志賀海神社(しかうみじんじゃ)へ参拝した後は、宗像大社に向かった。宗像大社は海神である田心姫神(たごりひめのかみ)、湍津姫神(たぎつひめのかみ)、市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)の三女神を祀っている。 *海神(「日本大百科全書」小学館)) 海神とは海(わた)ツ霊(み)とも書き、海に住む神霊を表す。中国の「海若」から海童、少童ともいい、「わた(海)」は朝鮮語Pataと同源とされて海洋的他界も...... more
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