台峯はわが魂の故郷－ガキ大将、台のちびっ子をガイド！－

「今、鳥の鳴き声が聞こえるだろう。なんていう鳥かな」
「ウグイス！」
「違うね。メジロだよ。チョーベー、チューベー、チョーチューベーと鳴いているんだ。この鳴き方は『求愛』の時だけなんだ」
「へー、そうなの」
「トンボはカワトンボとシオヤトンボ。シオカラトンボじゃないよ」
「この棒の先にシオヤトンボ、とまってくれないかな」
「プールがなかったから、君たちくらいの時は、この谷戸の池で、生まれたまんまの姿で泳いだんだよ。海水パンツなんて、高くて買ってもらえなかったからね」
「本当かな。恥ずかしいよ」
「今と違って、この池は深くてさ。池の周囲の木から飛び込んだものさ。上級生は、下級生をフジヅルで縛り付けで、浅い所で泳ぎ方を教えたんだ」
「ふーん」
「これはマシジミ。美味しいよ。この小川の水は生活排水が一切入っていない。飲んでも平気だよ」
「ワーイ、このシジミで夜、お味噌汁を作ってもらうんだ」

　「みどりの日」の４月２９日、台子ども会は、子どもたちに自然体験させるために保全の決まった台峯緑地で、初歩的な自然観察会を開催した。参加者は主催者の予想を大幅に上回る約８０人。ガイド役を務めたのは、鎌倉自主探鳥会のメンバーで、台峯の「主」的な存在の川上克己さん。台峯を知り尽くした川上さんの分りやすい説明に、ちびっ子たちは目をキラキラさせて反応した。台峯にはしばし、ちびっ子たちの元気いっぱいの声が溢れた。その賑わいは、今から５０年前の「昭和の時代」を連想させた。当時、台峯は人々の暮らしの中心であり、ちびっ子たちにとっては、最高の遊びと学びの「場」だった。そこには必ず「ガキ大将」の姿があった。そう、この日の川上さんのような…