如水会鎌倉支部の一橋大学留学生招待鎌倉ツアー：1・22

石田泰尚リサイタルｉｎ建長寺は「超満員、会場は感動の渦
「まさに日本のおもてなし」と留学生の反応は上々
世界文化遺産登録を目指す鎌倉紹介の“先駆け”にも
　去る１月２２日、如水会（一橋大学のＯＢ組織）鎌倉支部は、一橋大学への留学生を対象とした鎌倉招待ツアーを開催した。ツアーの目的は、留学生に鎌倉ツアーを通じて、日本文化への理解を深めてもうことと、母校の国際競争力の強化に役立てるためだ。“接待役”は鎌倉支部の役員。わたしは昨年11月の支部総会で役員を退任したが、カメラマン役としてツアーに同行した。

　この日の鎌倉招待ツアーに参加した留学生は１２人。海外の日本大使館が日本語学科、日本語副専攻の学生を対象に試験で選抜した日本語日本文化研修留学生（日研生）と、一橋大学と学生交換の協定を結んでいる海外の大学から来ている交流学生が中心で、国籍は中国、韓国、ベトナム、パキスタン、米国、ロシア、フランス、オランダ、セルビアと多岐にわたり、国際色豊かだった。

　留学生の鎌倉到着時は冷たい雨に見舞われ、生憎の天気だったが、お昼ごろから回復に向かった。「時間を無駄にせず、日本の歴史のある文化遺産についてと詳しく理解することができた」「まさに日本のおもてなし」「桜や紅葉の季節には、ぜひ再び鎌倉に行きたい」と留学生の反応は上々だった。


　このツアーから５日後の２７日、日本政府は２０１３年の世界文化遺産登録を目指す「武家の古都・鎌倉」（神奈川県）と「富士山」（山梨県、静岡県）の推薦書を、ユネスコ世界遺産センターに提出した。今年の夏から秋にかけ、ユネスコ諮問機関の国際記念物遺跡会議（イコモス）が、現地調査に入る。今回のツアーは海外に向けた鎌倉紹介の“先駆け”ともなった。

　招待費用は昨年１０月に一橋大学基金への寄付を目的に如水会鎌倉支部が主催した「石田泰尚無伴奏ヴァイオリンリサイタルｉｎ建長寺」（http://kitakamayu.exblog.jp/16984873/）の収益の一部から捻出した。鎌倉支部の取り組みが、他地域の如水会の活動の参考になってくれることを鎌倉支部は願っている。

　今回のツアーは企画が浮上してから実現するまでには、さまざまな事情があって、３年間の期間を必要としたが、一橋大学が全面的に協力してくれた。西谷まり・一橋大学国際教育センター准教授と、志波幹雄・一橋大学中国交流センター代表（如水会鎌倉支部会員）がツアーに同行してくれ、嬉しいことにツアー直前には西谷准教授が特別授業で、参加留学生を対象に、鎌倉、禅文化、茶の湯等に関する予備知識を植えつけてくれた。

　ツアーのコースは高徳院（鎌倉大仏）→長谷寺（長谷観音）→昼食（「そば以志橋」）→小町通り→若宮大路→鶴岡八幡宮→東慶寺・お茶会（「寒雲亭」）。鎌倉は政治の中心が京都の朝廷と貴族から、初めて武士へと移った歴史の大変革の舞台である。そして、武家文化を代表するのが禅、茶の湯だ。

　ツアーでは、今回の目的を達成するために、留学生にまず、大変革の舞台を実際に歩いてもらい、最後に禅宗の臨済宗円覚寺派の寺院である東慶寺で、武家文化の象徴である茶の湯の実体験をしてもらうことにした。東慶寺はかつて、女人救済の縁切り寺だったが、明治３８年（１９０５）に円覚寺、建長寺の管長を兼任、臨済宗大学(花園大学)の学長も務めた釈宗演禅師が入寺、中興開山となり、禅寺として再スタートを切った。

　宗演禅師は、門下の鈴木大拙（仏教学者）と共に世界に禅文化を広めた。宗演禅師の遺志により、昭和１７年（１９４２）、大拙は東慶寺境内裏山に収集した仏教書を収めた「松ヶ岡文庫」を創立しており、東慶寺は世界的禅文化の発展の拠点となっている。

　留学生の皆さんは全員、日本語がうまかった。このため、ツアーの間、しっかりとコミュニケーションが取れた。昼食時に、箸の使い方が上手なのにも驚かされた。目的あっての留学だから、単なる物見遊山ではない。東慶寺・お茶会で正座に挑戦する留学生もおり、「学ぶ姿勢」がはっきりと伝わってきた。何よりも表情が素晴らしかった。

＊参考　桜、アジサイ、紅葉の時期の鎌倉
「探訪！幻の大蛇ザクラ」ブレイク、参加者過去最高の150人
http://kitakamayu.exblog.jp/11253893/
鎌倉・段葛の桜、いま満開（０８・３・２７）
http://kitakamayu.exblog.jp/8541508/
北鎌倉・円覚寺の紅葉は今、見ごろ①（０９・１１・２８）
http://kitakamayu.exblog.jp/13107391/
例年より遅れて梅雨入り、アジサイはやはり雨に合う：6・14
http://kitakamayu.exblog.jp/6311391