川田順と山崎方代の生涯を歌で追う第8回鎌倉如水会サロン

常識の踏襲がイノベーション無くす：第7回鎌倉如水会サロン
相触れて　帰りきたりし　日のまひる　天の怒りの　春雷ふるる―川田順
手のひらを　かるく握って　こつこつと　石の心を　たしかめにけり―山崎方代　

　6月22日、第8回鎌倉如水会サロンがコム・アン・オワゾー（鎌倉市小町1－6－2　0467－24－5557）で開催された。参加者は２１人。今回の話題提供者は前如水会鎌倉支部幹事の田中豊さん（昭和41年卒）で、テーマは「私の鎌倉案内―二人の歌人の生涯を歌で追う」。

　川田順（http://homepage1.nifty.com/B-semi/library/koiku/25kawada.htm）は大正-昭和時代の歌人・実業家。６４歳の時に、弟子で京大教授夫人の鈴鹿俊子（３６）と恋愛関係になり、老いらくの恋といわれ話題をよんだ。二人の恋を小説にしたのがもとセゾングループの総帥・堤清二（ペンネーム辻井喬）の「虹の岬」（中央公論社）。「虹の岬」は１９９４年の谷崎潤一郎賞を受賞した。

　一方、山崎方代（http://homepage1.nifty.com/B-semi/library/koiku/23yamazaki.htm）は、山頭火、放哉につながる昭和の放浪歌人。「手のひらを　かるく握って　こつこつと　石の心を　たしかめにけり」の歌から、北鎌倉在住の友人の晏侶さん（「生れいずる期待と怖れ―晏侶展―」、「晏侶石像展－慈無量心－」、「魂と魂が共鳴―晏侶石像展、５日５日感動のフィナーレ！」―）を連想した。

　「名は体をあらわす」という言葉があるが、田中豊さんは名前が示しているように、とても趣味が豊かだ。短歌を嗜むだけでなく、茶道、写真の腕前も玄人はだし。短い時間ではあったが、名ガイドのお陰で、鎌倉にゆかりのある二人の歌人の足跡を楽しくたどることが出来た。

　それにしても川田順にはびっくりだ。というのは彼が老いらくの恋に陥ったのが、現在の私と同じ６４歳の時。脱帽である。ただし、上には上がいるものである。１人は禅宗の僧侶の一休。77歳のとき、盲目の美女、森を見初め、88歳で死ぬまで同棲した。森は一休より50歳以上若かったと言われている。そして赤裸々な交情賛歌「美人の陰に水仙花の香あり」「美人の婬水を吸う」を遺している。また、この一休と親交があったと伝えられている浄土真宗中興の祖、蓮如上人は、生涯で５人の妻に30人近い子供をもうけている。