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円覚寺結界尾根調査陳情は委員会で継続審議 鎌倉市議会は6月30日の6月定例会本会議で保坂令子議員(神奈川ネットワーク運動・鎌倉)が提案した「北鎌倉隧道(緑の洞門)が所在する尾根の文化財的価値の公正な検証を求める決議」を賛成多数で採択した。 6月22日、北鎌倉湧水ネットワークが鎌倉市議会に陳情した「円覚寺結界尾根の学術調査の実施を求める陳情」は、教育こどもみらい常任委員会で審議され、採決の結果、継続審議となった。しかし、30日の本会議の決議採択で陳情の目的は十分達成できた。決議提出に向けて動いて頂いた議員の方々に心から感謝したい。 決議では松尾崇鎌倉市長に①当該尾根の文化財的価値を検証するに当たって、文化庁の指摘の趣旨に沿った公正な学術的検証を実施すること。その任に当たる専門家は公正・中立な立場の人を選任すること②北鎌倉隧道が所在する尾根の文化財的価値についての文化庁の見解を尊重し、同庁と協議すること③上記検証結果が出るまでは、開削につながる一切の工事の着工をしないこと―の3点を求めている。 鎌倉市議会はこの決議に先立ち、松中健治議員(無所属)が提案した「文化庁を初めとする日本政府等に対して北鎌倉隧道が所在する尾根の文化財的価値の検証並びに安全対策に当たって適切な支援・助言・関与を求める意見書」を満場一致で採択した。今後、中澤克之議長(公正と法)が、意見書を国や県の関係機関に送付する。 決議と意見書は、緑の洞門開削の前提としていた「横須賀線開通時に尾根の相当部分が削り取られており、文化財的価値はない」という市の議会への説明が大きく揺らいでいることを受けたもの。複数の有識者からは「緑の洞門を含めた尾根が鎌倉時代の円覚寺結界尾根そのもの」との指摘がなされ、文化庁も文化財的な価値を確認している。 北鎌倉隧道が所在する尾根の文化財的価値の公正な検証を求める決議 北鎌倉駅下りホーム脇の素掘りの隧道については、昨年、鎌倉市から業務委託された一般社団法人日本トンネル技術協会が、過去の調査と今後のあるべき安全対策についての検証を行った。鎌倉市は、同協会が安全対策の方法として昨年8月末に示した隧道の保全と開削の2つの工法のうち、開削工法を選択し、市議会9月定例会に開削工法を内容とする安全対策事業費を補正予算として示し、市議会は、これを賛成多数で可決した。 この時、市長は、同協会による検証結果から景観と安全性の両立は難しいと判断したことが開削工法を選択した理由であると市議会に説明している。しかし、補正予算成立後においても、市民団体等から隧道が所在する尾根の文化財的価値についての指摘が相次ぎ、本年2月には、「現在の岩塊・尾根自体が実に鎌倉時代の円覚寺結界尾根そのものであり、歴史的価値・文化財的価値がある」ということが、複数の有識者により発表・確認されるに至った。 これは、従来市が議会に対して説明してきた「横須賀線開通時に尾根の相当部分が削り取られており、文化財的価値はない」という見解とは大きく相違するものである。 さらに本年5月には、文化庁主任文化財調査官による現地視察があり、当該尾根に文化財的価値があることを確認した上で、鎌倉市に対し、現行の文化財専門委員以外の別の専門家を加えて文化財的価値に関する検討が必要である旨の指摘がなされた。鎌倉市議会は、昨年9月定例会の時点とは異なる新たな展開があったと受けとめ、市長に対して、次の3点を求める。 1 当該尾根の文化財的価値を検証するに当たって、文化庁の指摘の趣旨に沿った公正な学術的検証を実施すること。その任に当たる専門家は公正・中立な立場の人を選任すること。 2 北鎌倉隧道が所在する尾根の文化財的価値についての文化庁の見解を尊重し、同庁と協議すること。 3 上記検証結果が出るまでは、開削につながる一切の工事の着工をしないこと。 以上、決議する。 平成28年6月30日 鎌 倉 市 議 会 文化庁を初めとする日本政府等に対して北鎌倉隧道が所在する尾根の文化財的価値の検証並びに安全対策に当たって適切な支援・助言・関与を求める意見書 北鎌倉隧道が所在する尾根については、鎌倉市は、安全対策の必要性から、急傾斜地崩壊防止工事について開削を含む工事方針をもって臨んできたところである。この工事に係る安全対策事業費についても既に鎌倉市議会においては、平成27年9月定例会において補正予算として賛成多数で可決されている。 しかしながら、この工事の前提として、補正予算に係る市議会に対する市側の説明では、北鎌倉隧道が所在する尾根については、「横須賀線の開通や隧道によって破壊されており、文化財的価値はない」旨を示してきたが、平成28年5月に文化庁は現地視察を実施し、文化庁記念物課長並びに主任調査官は、文化庁の見解として、当該尾根については、「国の重要文化財に指定されている円覚寺境内絵図に円覚寺の境界として描かれていることから、重要であり、文化財的価値がある」と示し、6月には再度、市長に対しても、文化庁記念物課長並びに主任調査官より同様の見解が伝えられた。 この文化庁の見解は、これまで市が市議会側に示してきた所見とは大きく相違するものであった。鎌倉市も、6月定例会の最中、神奈川県当局より開削を含む工事計画について同意を得たところであるが、文化庁の指摘を受けて工事は現在着工していない。 また、市は一般質問等に対する答弁において、「文化庁の指摘を受けて、文化財専門委員会に外部の専門家を招き、文化財的価値を検討する」と答弁し、今後の工事についても、文化庁との協議によって、るる進めていく旨を示した。 以上のことから、今回の文化庁の「国の重要文化財に指定されている円覚寺境内絵図に円覚寺の境界として描かれていることから、重要であり、文化財的価値がある」という指摘・見解については、鎌倉市に大きな影響を与えたところである。 また、文部科学省が所管する国際日本文化研究センター関係者が編集に参画した文献の円覚寺年表によれば、先述した円覚寺境内絵図の描かれた以降、大覚寺系門徒の放火によって全山が焼亡したとも示されており、当該尾根に係る検証については、高度な専門的調査に基づいた判断が必要であり、後世に残すべき必要の可能性のある我が国の文化財の扱いについては、このたび、文化庁の関与や指摘もあったことから、鎌倉市や鎌倉市教育委員会の単独の判断だけで、もはや決定できるものではない。 よって、文化庁を初めとする国の機関や神奈川県など関係機関は、当該尾根の文化財的価値の検証を初め、工事の手法等のしかるべき対応については、鎌倉市並びに鎌倉市教育委員会に対して、必要な有形無形の支援・助言・関与を求めるべく、鎌倉市議会として要請する。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 平成28年6月30日 鎌 倉 市 議 会
by kitakamayunet
| 2016-07-01 07:01
| 洞門山宅地開発問題
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Tracked
from 北鎌倉湧水ネットワーク
at 2016-07-02 07:22
タイトル : 7・8緑の洞門の文化財的価値で鎌倉市が文化財専門委
緑の洞門の文化財的価値検証で決議と意見書採択 昭和42年の緑の洞門の写真(撮影:鈴木正一郎さん) 鎌倉市は7月8日に緑の洞門を含む尾根の文化財価値を協議するため、午後2時から4時まで鎌倉市役所本庁舎2階の全員協議会室で文化財専門委員会を開催する。文化財専門委は、先着30人までの傍聴が可能だ。 文化財専門委員会の通常のメンバーのほかに、外部から委員を呼ぶ予定があるという。鎌倉市議会6月定例会・本会議での松尾崇市長の一般質問への答弁や「北鎌倉隧道(緑の洞門)が...... more
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