潜在自然植生と八ヶ岳倶楽部の美しい雑木林11・10

旬のズワイガニ（加能ガニ）求めて5泊6日の旅11・6～11

　俳優、司会者、タレントの柳生博さんが始めた八ヶ岳倶楽部の美しい雑木林に心を奪われた。旬のズワイガニ（加能ガニ）求めて5泊6日の旅の終わりに近い11月10日のことだった。スタッフに聞けば、＊潜在自然植生の考え方に基づいてつくられたとのこと。

＊潜在自然植生（潜在植生）
「ある場所において現存する植生が人為的干渉を受けている場合、その干渉を取り除いたと仮定したときに成立する植生」（デジタル大辞泉）

　雑木林は八ヶ岳倶楽部を作るときに自生していたシラカバを中心に、近くの森に自生していたブナ、ミズキ、ヤマザクラなどで構成されていた。雑木林の紅葉のピークは過ぎていた。それでも十分、美しかった。レストランでフルーツティをいただきながら、柳生さんのインタビュー記事を読んだ。

　目の前の雑木林を柳生さんは「人間と自然の仲のいい風景」と表現している。「共生」という言葉はあまりにも使い古されていると柳生さんは考える。インタビュー記事には「里山は人間の収奪の場ではない。落葉樹の落ち葉を地面ではバクテリアやミミズが待っている。樹液や花の蜜を求めて昆虫が集まる。それを鳥や動物が食べる。豊かな森が形成され、清流を育み、豊かな漁場を作り出す」とも書かれていた。

　現在、第15期神奈川県森林インストラクター養成講座を受講中だ。2017年10月7日に横浜自然観察の森で開催された2年次、第8回の講座の講師となった「かのこ環境プロデュース」代表の神保賢一路さん（神奈川県鳥獣保護観察指導員）は、「潜在自然植生に配慮し、横浜自然観察の森の一部にあえて下草を刈らない場所を作っている。そして、「（里山再生に当たっては）潜在自然植生復活の観点から下刈を行うべきではないか」と指摘した。



　六国見山森林公園の里山再生活動をスタートさせてから６年の歳月が流れた。下草刈り、間伐、除伐をしたあと、それを待ち構えていたかのようにこれまで目にしなかった山野草や樹木が復活する光景を何度も目にしてきた。神保さんによれば「数十年、数百年の単位で復活のチャンスを待っている」とのことだ。これからは潜在自然植生を明確に意識しながら里山再生活動を続けていきたい。