過疎化進行止まらず：列車帰省で新たな発見（下）

浅間大神の祠が故郷にも：列車帰省で新たな発見①

　わたしの母が入院している病院の最寄り駅は成田線の下総橘駅。自宅の最寄り駅は横須賀線の鎌倉駅だ。朝、成田空港駅行きに乗り、同駅の一つ手前の成田駅で乗り換える。この間の乗車時間は約２時間。成田駅から橘駅までは約１時間。合計3時間。帰りは逆パターンとなる。成田線は単線なので列車は一時間に1本しか運行していない。橘駅は当然のことながら無人駅だ。日帰りの小旅行といった感じだ。

　橘駅手前の笹川駅周辺からがわが故郷の東庄町のエリアだ。車窓からの風景を見て愕然とした。かつては畑や田んぼだった農地が耕作放棄でアズマネザサや葦、雑木になどに覆われ、荒れ放題になっている姿が目に飛び込んできた。

　２０１７年３月１１日、大利根用水の父と言われている野口初太郎翁頌徳碑が建立されている、わが故郷・千葉県東庄町の大利根用水旧笹川揚水機場跡地で河津桜のお花見をした際、岩田利雄・東庄町町長から東庄町が過疎地域に指定されたことを告げられた。車窓からの風景を見てさもありなんと思った。



　都会ではコンビニがいたるところにあるが、橘駅周辺には皆無だ。コンビには約４キロ離れた笹川駅周辺まで行かないとない。スーパーもしかりだ。駅のホーム沿いのかつては畑だったと思われる場所に、場違いとしか思えないソーラーパネルが設置されていた。

　今春大学を卒業し、社会人となる又甥(またおい)がいる。親族は東庄町役場に就職することを望んでいたが、都内への就職が決まっている。常識的には駅周辺が、一番賑わいがあるはずだ。橘駅で見た風景はこれと間逆。これでは若者が故郷を離れてしまうのも無理もない。

　わたしは高校を卒業して故郷を離れた。当時、橘駅近くには食堂兼雑貨屋の奉天屋と肉屋があった。いずれもは閉店し、肉屋だった建物のシャッターにはテナント募集中の張り紙があった。

◇過疎地域
過疎地域自立促進特別措置法では45年間の人口減少率が33%以上などの人口要件と、基準より低い財政力要件を満たす市町村が過疎地域。その数は全国776、近畿51。神奈川、大阪2府県はゼロ。長浜市は合併前の旧余呉町区域が過疎地域。人を活用した政府の支援制度には、集落支援員や地域おこし協力隊がある。 (2011-09-11 朝日新聞 朝刊 関西総合)

◇東庄町公式ＨＰ（更新日： 2017年 09月 8日）
　東庄町は、過疎地域自立促進特別措置法（以下「過疎法」という。）により、平成29年４月１日に過疎地域として指定を受けました。この度、町議会の議決を経て、東庄町過疎地域自立促進計画（計画期間：平成29年度～平成32年度）を策定し、今後、過疎対策事業を推進してまいります。また、この計画に基づいて町が実施する事業に対しては、財政上の特別な支援を受けることができます。