広報かまくらに雲頂庵などへの市長謝罪文：緑の洞門通行禁止

雲頂庵の反対で通行再開実現できず：緑の洞門通行禁止
　鎌倉市が毎月1日・15日に発行している「広報かまくら」（2018年3月1日、第1311号）の３面に、松尾崇鎌倉市長の名前で「北鎌倉隧道の安全対策について」という記事が掲載されていた。緑の洞門が封鎖されて間もなく3年になる。通行再開に向けた松尾崇鎌倉市長の強い意欲を示す意図が込められているかと期待して読んだのだが、北鎌倉緑の洞門を守る会（北鎌倉史跡研究会）の「『広報かまくら』（3月1日）での市長の『謝罪』についての声明」や、「鎌倉おやじのブログ」　北鎌倉駅隧道　松尾市長が円覚寺・雲頂庵へわび状　　公報かまくら掲載によれば、どうもそうではなく、核心は、円覚寺とその塔頭である雲頂庵への「謝罪文」なのだそうだ。　北鎌倉緑の洞門を守る会が発行した「緑の洞門ニュース13号」（2017年5月17日）では、雲頂庵が「執拗に開削にこだわるのは、なぜでしょうか？」と強い疑問を投げかけていた。この理由をますます知りたくなった。

「広報かまくら」（3月1日）での市長の「謝罪」についての声明
2018年3月7日
北鎌倉緑の洞門を守る会

　「広報かまくら」（2018年3月1日、第1311号）の三面に、松尾鎌倉市長名にて「北鎌倉隧道の安全対策について」という、驚くべき記事が掲載されました。読まれて、唖然としている方々も数多いこと思います。

　この松尾市長の言説の核心は、円覚寺とその塔頭である雲頂庵への「謝罪文」であり、その前提の事実は以下にあります。

　松尾鎌倉市長は、2016年夏以降、同年7月の文化財専門委員会の総意を受け、緑の洞門（北鎌倉隧道）を含む尾根筋の開削・破壊から保存へと転換しました。この英断に対し、円覚寺とその塔頭である雲頂庵は、上述の委員会の緑の洞門（北鎌倉隧道）を含む尾根筋の「国指定史跡の追加」の総意に頑強に反対してきました。この事実は、2017年1月の文化財専門委員会の議事録などで明白に記録されています。

　松尾市長は、上述の2016年7月の文化財専門委員会の総意を受けて、同月、2017年1月には緑の洞門の仮設工事を完了すると公約しました。さらに、この公約が円覚寺・雲頂庵との抵抗で難航し、2016年11月には2017年夏過ぎには仮設工事を完了すると再び公約しました。しかし、私たち地元住民が求めてきた、早急に緑の洞門を人や自転車が通れるようにとの切実な願いは、円覚寺とその塔頭の雲頂庵によって阻まれ、人々は迂回路の危険にさらされ続けました。

　緑の洞門の通行禁止が一方的になされてもうすぐ3年になります。その間、北鎌倉・山ノ内とその周辺の住民は危険きわまりない鎌倉街道の迂回路通行を強いられてきました。こうした地元住民・鎌倉市民の安全を顧みず反対、抵抗してきたのは円覚寺、雲頂庵であることは、これまでの市長自らの発言や市議会での審議によって隠しようがありません。

　以上の事実経過に基づき、「公報かまくら」（3月1日）での市長の謝罪は、なぜ地元住民・鎌倉市民への謝罪ではなく、円覚寺と雲頂庵への謝罪なのか、あまりに理不尽です。そこでの「誤解」とはいったいなんなのでしょうか？仮に誤解があるとすれば、誤解にたいする正しい事実を明白にすべきです。

　さらに、このことと関連して、昨年9月および12月の鎌倉市行政と円覚寺あるいは雲頂庵と話した内容の情報公開請求をしました。が、「行政文書全部非公開決定通知書」「行政文書不存在決定通知書」を受け取り、住民・市民に隠れての裏政治に愕然とする思いでした。

　松尾鎌倉市長は、これまで自らの施策について決断も実行も説得の努力もできずに、いったいなぜ今になって円覚寺や雲頂庵に「深くお詫び」するのでしょうか？円覚寺や雲頂庵の利権のせいで、仮設工事が阻まれ、怖ろしく迷惑を被ってきたのは地元住民、鎌倉市民です。市長は、鎌倉市民、とりわけ日々の通学に洞門を利用していた小学生の子どもたちをはじめとした住民に対して謝罪するのが筋です。

　緑の洞門が封鎖されて間もなく3年をむかえようとしています。私たちは、市長の公約であった仮設工事の早期実施を引き続き求め、迂回路を強いられてきた危険を除き、緑の洞門を人や自転車が安堵して通れるよう望みます。

　　　　　2018年3月5日
　　　　　北鎌倉緑の洞門を守る会（北鎌倉史跡研究会）
　　　　　共同代表　鈴木一道　出口茂