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新王者・村田諒太選手とアドラーの「勇気の心理学」 ボクシングに造詣の深いまほろば楽団団長の石井彰英さんから「村田涼太及びミドル級王者に関しての駄文を書きました。よろしければブログに掲載して頂けますようお願い致します」とのメールが寄せられた。
「村田選手、今はゆっくりと休んで」(石井彰英まほろば楽団団長) ボクシングのミドル級チャンピオン村田涼太がロブ・ブランドに一方的な判定で敗れた。私の採点ではフルマーク(119:109)。よくぞ最後まで立っていたと言えるような一方的な敗戦だった。識者が敗因を論じているが、一言でいえば実力の違い。村田涼太には伸びしろが乏しく、再戦での差は開くだけに思う。
ミドル級とは、その名のとおり(中間)を意味している。欧米人の平均的な体格である。(身長180cm程度、体重約70キロ)それだけ選手層が厚く歴史があり、人気のある階級だ。連日、TVのブラウン管をにぎわせている村田選手。オリンピックの金メダリストで話題性があり、話が上手でルックスも良く、お茶の間の好感度は高い。しかし、プロ転向後の対戦相手に一流選手は居ない。村田選手はスピードがなく、攻撃も単調で世界的には2流のチャンピオンと評されるのは否定できない。
ボクシング界にはOne Too Many Fightsという格言がある。1試合だけ多すぎた試合という意味である。アスリートの将来を周囲の人間が決定する事はできない。だが村田選手に現役選手としての明るい未来はない。ご自分の健康の為、そしてご家族の為に引退されるのが賢明と思う。厳しい事を書き連ねたが、一度は栄光のミドル級を制した日本人選手である。今はゆっくりと休んで頂きたい。
ミドル級世界王者、数ある世界チャンピオンの中でも何と魅力的な響きであろうか!一方では「呪われたミドル級」と呼ばれているように悲惨な最後を迎えたチャンピオン達も多数いる。何名か紹介させて頂きます。
「スタンレーケッチェル米1886-1910」 今でも最強のミドル級チャンピオンの誉れが高い。ミドル級在位期間中に、これも最強のヘビー級王者、ジャックジョンソンに挑戦し敗れている。(何と20キロもの対格差があった!)その破格の強打でミドル級では無敵。しかし、滞在していた牧場で女性をレイプ。その内縁の夫に射殺された。24歳の現役王者のまま、亡くなった。米国の権威あるリング誌ではミドル級歴代1位に選ばれている。
「マルセル・セルダン仏1916-1949」 キャリアのなかで凡戦は皆無、勇猛果敢なファイターだった。1949年に一度は敗れたジェイクラモッタ(こちらもロバートデニーロの映画で有名なチャンピオン)との再戦の為にフランスからアメリカに向かう飛行機の墜落事故で死亡。世界で最も有名なラブソング「愛の賛歌」は恋人だったパリの歌姫、エディット・ピアフがセルダンの為に書いた。ニューヨークの空港でセルダンとの再会を待ちわびていたピアフにセルダン死亡のニュースが!ピアフは、その夜のコンサートで涙ながらに「愛の賛歌」を歌った。添付写真はセルダンとピアフ。
「シュガーレイロビンソン米1921-1989」 長い世界ボクシング史上、最も偉大な選手と評するファン、評論家は多い。強く華麗で粋で・・・リングネームの「シュガー・砂糖」とはボクシングでは甘美、洗練を意味している。米倉健司会長がメルボルンオリンピック出場の後、アメリカに渡りレイロビンソンの練習を観た事があるそうだ。「格好良かったよ。縄跳びも、サンドバッグを殴るのも、練習だけで金が取れる選手だったよ」とご本人から聞いた事がある。「モハメドアリがシュガーレイロビンソンのカバン持ちをさせて欲しい」と申し出たり、シュガーレイレナードが「シュガー」と名乗って良いですか?と許可を求めたのは有名な話である。稼いだ金も桁違い。ヨーロッパに遠征した時は豪華客船を1隻借り切り、トレーナー、練習仲間、召使、コックまでを同行させた。45歳まで現役、それでも、ほとんど負けなかった。生涯のKO勝は109.とんでもない記録である。俳優高倉健さんからシュガーレイロビンソンのビデオを頼まれて編集した事がある。
「カルロス・モンソン亜1942-1995」 アルゼンチンの英雄である。単調なボクシングスタイルは村田諒太に似ている。しかし防御のうまさ、バズーカと呼ばれた右ストレートの威力は一発必倒だった。快楽主義にして練習嫌い。現役中に妻に脚を拳銃で撃たれ大手術をしている。滅茶苦茶な私生活、パパラッチや妻を殴り大怪我をさせている。ヨーロッパのリングでの試合が多くプロモーター兼マネージャーはアランドロンが務めた。 14度連続防衛後「もう敵がいなくなった」とチャンピオンのまま引退。その後はジェリアーノジェンマ等と映画出演をしていた。(ほとんど主演)1988年、再婚した妻の首を絞めて殺害。別荘の2階から突き落として有罪。刑務所に服役。ここからが凄い!夜、刑務所に居ればよいという破格(?)の条件だった。昼に酒場で酩酊、そのまま酔っ払い運転で事故死した。カルロスモンソン、名チャンピオンであるが同時に殺人犯である。しかし、何と国葬、あつまった弔問客は2万人!アルゼンチンてのは何て国でしょう???下の添付写真は葬儀の様子。
「マーベラス・マービン・ハグラー 米1954-」 強打には強打で、技巧には技巧で対処できる万能型の偉大なチャンピオンである。過去30年では最高のミドル級チャンピオン。現在最強の誉れが高いケンナジーゴロフキンでも勝つのは困難であろう。怖い風貌ではあるが実直な人で現役中は派手な言動を好まず酒、たばこ、麻薬は勿論、コーヒー、菓子すら制限していた。無名な頃に自分を鍛えてくれたペトロネーリ兄弟に義理をとおし、ドンキング、ボブアラム等からの破格の条件にも首を縦に振らなかった。ラストファイトはシュガーレイレナードとの大試合。私はハグラーの勝ちと思ったが、レナードの大衆人気が判定に加味されハグラーの小差判定負け。これに嫌気がさして引退。現在はイタリアで生活しているが、堅実な生活設計から経済的には恵まれているようだ。 このように豪華絢爛なミドル級チャンピオン達だ。その系譜の片隅にでも我らが村田諒太が名を連ねた事は本当に嬉しい!
by kitakamayunet
| 2018-10-22 16:18
| 現代に生きる禅の精神
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