シリーズ「鎌倉・江の島七福神巡り」⑤寿老人（妙隆寺）

シリーズ「鎌倉・江の島七福神巡り」④毘沙門天（宝戒寺）
　■寿老人（南極星の精で、長寿の神様。福禄寿と同じ神だとする説もある）
　「鍋かむり日親」のお寺として有名な日蓮宗の妙隆寺は、宝戒寺から小町大路を海の方向に向かって歩いて、約５分の距離にある。「（開山）第二代の日親上人は、生爪をはがした血で墨をすって、大曼茶羅を書き上げたという厳しい修行をしたと伝えられている。また、室町幕府六代将軍の足利義教に、宗祖日蓮に倣い、『立正治国論』を室町幕府六代将軍足利義教に建白しようとしたが容れられず捕らえられて拷問を受けた。そのとき灼熱した鍋を頭ても主張を曲げなかったので、『鍋かむり日親』の偉名が付けられた 」（「鎌倉の寺　小事典」・かまくら春秋社）



　本堂右手のお堂の中には、欅（けやき）一本造の寿老人が安置されている。ガラス越しの拝観できる。 「一帯は鎌倉時代の有力御家人だった千葉常胤（つねたね）の子孫胤貞の別邸跡と伝えられ、一般に『千葉屋敷』とも呼ばれる…胤貞が祖先追福のため１３８５年、七堂伽藍を建立して妙隆寺を創建し、中山法華経寺の日英上人を開山に迎えたと伝えられる」（「鎌倉の寺　小事典」・かまくら春秋社）。千葉県生まれの私にとって、故郷を意識させてくれるお寺でもある。


　妙隆寺を出て、小町大路沿いにさらに海のほう向かうと左手道路脇に日蓮辻説法跡がある。距離にして約１００メートル。日蓮宗を開宗した後、鎌倉入りした日蓮は、鎌倉の松葉ヶ谷（まつばがやつ）に小庵を結び、布教活動を行った。当時、小町大路は鎌倉の町中では若宮大路に次ぐ重要な道だったという。

　若宮大路が鶴岡八幡宮への参道だったのに対して、小町大路は産業道路。鎌倉の港である和賀江島から荷揚げされた物資が小町大路経由で、幕府の中心施設に運ばれていた。商業地区としてにぎわっていた小町大路は、自らが興した日蓮宗を普及させる絶好の場所と考えたようだ。

■妙隆寺現在、本堂の新築中　（平成１６年１２月～平成１８年２月） で御本尊も遷座し、拝観できない。但し、七福神の御朱印は可能。